24歳からの日記

フレスコボールの普及、あるサッカーチームの監督、横浜でまちづくりの活動をしている人の備忘録

映画"物語る私たち"を見て、物語るぼく ー真実とは複雑ー

飼っていた犬が死んだ時に感じる悲しみには、何かしらの意味がある。
学校で彼と出会ったことにもなにかしらの意味がある。
 
おそらく、今日ぼくがこの映画に出会った事にも何かしらの意味付けが後にされるのであろう。
ーーー
 
アルバイト先の会社が閉まっていた。
今日は祝日だ。そりゃ空いてる訳がない。
 
やれやれ今日は何をしようやら、と思いオフィスのドアの前にため息をついた。
そうだ、昨日見ていた映画館へいこう。
そう思い、急遽職場近くにあるミニシアターへと向かった。
 
昨日、前から見たいと思っていた映画の上映館を調べていた。
それは職場の近くにあった。
ネットで調べるまで、そんな近くにシアターがあったことは知らなかった。
 
歩いて向かった。職場から、ものの数分でついた。
そこはホテル街にある。
 
そこは5階建てほどのビルで、1階にはカフェが入っていた。
映画のポスターがビルの前面に貼ってあり、一目見ただけでここは映画館なんだろう、ということが分かる。
ビルの案内図を見ると、映画館は3階にあった。
エレベーターもあったが、僕は階段を1段飛ばしで、ちょっと大股で、上へと向かった。
 
なにか予期せぬ出会い、そんなワクワクが心の中にはあったのだと思う。
 
僕が見たかった映画は、あと30分で終わりを告げようとしていた。
これは昨日、上映時間を調べていたので知っていた事だ。
知っていたとは言いつつも、どこかガッカリした部分もあった。
 
しかし、およそ30分後に始まる映画があった。
 
"物語る私たち"、そんな邦題であった。
原題では、"STORIES WE TELL”
 
タイトルを見て、思わずチケットを買っていた。
あーあー、また食費を切り詰めないと。チケットを買ってから頭にこのような台詞が過った。
 
何を語るのか。また誰が語るのか。そして、この物語における物語とは何を定義しているのか。
こんな事を知りたいと思ってチケットは買った訳ではない。
確かに、映画を見たあとにならこれらの後付けの理由をのっけることは出来る。
 
が、実際になぜ食費を切り詰めてまで上映券を購入したのかは分からない。
 
出会うべくして出会った、しかも適切なタイミングで。
このようにしか言えない。
 
整理券番号No11。この番号は早いのか遅いのかは分からない。
しかし、入場後にシアタールームを見渡してみると、遅い方ではなかったという事が分かった。
 
映画は1人で見たい人間だ。できれば前後左右は空席であって欲しい。
そんな思いも露知らずか、左側の席にお婆ちゃんが座った。
上映前にあんぱんを食べていて、その香りが印象として残っている。
 
そして映画が始まった。
映画は、とある家族にまつわるお話。
 
映画の内容に関しては、公式サイトを見てください▶︎http://monogataru-movie.com
 
この映画を見て1番強く感じた事は、
「人は何かを語るに際して、結局は自分について語っている」
ということである。
 
この物語の中では、全ての人がある女性について語っている。
しかし、言っている内容は、みんなバラバラであり、各自が女性にどのように見ているか、を語っている。
事実としては同じ事柄であっても、みんな見え方・語り方は違うのである。
 
物語の終盤に、「真実は彼女の中にのみある」という趣旨の台詞があった。
なるほど、確かにそうかもしれない。
しかし、各自にとっての真実とは、彼らの口から発せられた物語そのものではないのか。
 
人にはそれぞれ何かしらの先入観があり、語る時にはじぶんなりに編集をして語っている。
これらがその人の考え方の個性であり、またその差異が人と語る楽しさでもあると思う。
みんなが同じ考え方をしたら、この世から会話が消えて、ゲームのみをしてしまうのではないかとさえ思う。
 
事実は小説よりも奇なり、という言葉があるが、真実は事実よりも奇なり。
事実は事実としての解釈しか出来ないが、真実とはそれぞれの人がもつ物語の解釈である。
 
僕はそちらの方に面白みを感じた。
今も僕なりの”真実"こうして書いている。
そして、これは同時に自分についても語っている。
 
また印象に残った台詞として、
物語冒頭の「物語とは、その物語の渦中にいるときには混乱して、よくはわからないものである」
後半部分の「愛は儚く、忘却は長く」
 
1つ目のフレーズに関してはまさに同意で、
いま、大学時代を振り返れと言われても、まだ大学在学中なので上手くまとめきれない。
一方で小学校時代なら上手くまとめられる。
 
2つ目に関しては、なんだろう、うまくいえないけどグッときた。
まさに、この物語の、愛と忘却の物語の最中なのかもしれない。。。
ーーー
 
ふと、足を運んでみたら思わぬ出会いがあり、良い日でした。
物語る私たちを見て、物語る僕。
どれだけ影響を受けやすいんだ。